産後の腰痛は腰だけが原因じゃない?股関節の硬さと腰への負担の関係
こんにちは。
郡山市の美翔接骨院の院長、川上です。
産後になってから、日常の中でこんな経験はありませんか?
・腰がつらいから、とりあえず腰に湿布を貼ってしのいでいる
・腰をマッサージしてもらうと、その場では少し楽になる気がする
・毎日欠かさず腰のストレッチをしているけれど、時間が経つとまたつらくなる
「腰がつらいのだから、腰をケアする」というのは、ごく自然な考え方ですし、多くの方がまず行うアプローチだと思います。
もちろん、つらい部分に対してケアを行うこと自体は決して悪いことではありません。
ですが、もし色々なケアを試しているにもかかわらずなかなか状態に変化を感じられない場合、少し視点を変えてみることが大切かもしれません。
なぜなら、「腰がつらいからといって、腰だけに負担の原因があるとは限らない」からです。
産後の生活は、お子さんの抱っこや授乳、おむつ替え、床での作業など、以前とはライフスタイルや身体の使い方が大きく一変します。
そうした毎日の生活習慣の影響によって「股関節」の動きが少なくなり、その動かなくなった分を「腰」が代わりに頑張りすぎてしまっているケースが多々あるのです。
今回は産後の日常生活を振り返りながら、股関節と腰の深い関わりや、身体を全体で捉える重要性について分かりやすくお話ししていきます。
なぜ産後は股関節が動きにくくなりやすいのか?
まず、産後の日常でどのような動きをしているか、少し振り返ってみましょう。
産後の毎日を過ごしていると、どうしても「同じ姿勢」を長い時間保ち続ける機会が急激に増えます。
・赤ちゃんへの授乳(座りっぱなしや前かがみの姿勢)
・ぐずるお子さんの長時間の抱っこや寝かしつけ
・床に座っておもちゃで遊んだり、着替えをさせたりする時間
気付けば「何時間もほぼ同じ体勢のまま身体を固めていた」という日も珍しくないのではないでしょうか。
さらに、赤ちゃん中心の生活が始まると、ご自身の身体を大きく動かしたり、体操や運動をしたりする時間を確保することは容易ではありません。
スポーツや散歩といった運動面だけでなく、日々の基本的な動作においても、
・深くしゃがみ込む
・足を大きく開く
・股関節をしっかりと曲げ伸ばしする
といった、股関節を可動域いっぱいまで大きく使う機会そのものが激減してしまうのです。
関節やその周囲の筋肉・組織は、動かす機会が減ってしまうと少しずつ柔軟性を失い、本来の滑らかな動きを発揮しにくくなります。
その結果、以前ならごく自然に行えていた足腰の動きが、知らず知らずのうちに小さく制限されてしまうことになります。
股関節が動きにくいと、腰が代わりに頑張ってしまう
股関節は、人間の身体の中で最も大きく、屈伸や旋回などダイナミックな動きを担う重要な関節です。身体を折り曲げたり、しゃがんだり、立ち上がったりする動作の中心として機能しています。
ところが、この股関節の可動性が低下して動きが小さくなってしまうと、身体はその制限された動きを補うために、隣接する「腰」の関節や筋肉に過度な負担をかけて肩代わりさせようとします。
具体的な日常の動作を例に挙げてみましょう。
動作例①:床のおもちゃを拾うとき
お子さんが床に落としたおもちゃを拾い上げる場面を想像してみてください。
本来の身体構造に従えば、股関節をしっかりと曲げ、お尻や太ももの大きな筋肉を連動させながら膝を落としてしゃがみ込むのが、腰に無理をかけない理想的な動きです。
しかし、股関節の動きが硬くなって膝や足付け根が曲がりにくくなっていると、股関節を使わずに「腰だけを丸めて前へ倒れ込む」という身体の使い方になりやすくなります。
たった1回のおもちゃ拾いであれば、腰への影響は知れています。
ですが、育児の現場では、この「腰だけを折り曲げる動作」を1日に何十回、何百回と繰り返すことになり、知らず知らずのうちに腰の組織へ微小な負荷が蓄積されていくのです。
動作例②:お子さんを抱き上げるとき
お子さんを床や低い位置から抱き上げる動作も同様です。
本来であれば、股関節を深く折りたたむように身体全体でしっかりしゃがみ込み、脚全体の力を活用して持ち上げるのが望ましいフォームです。
しかし、股関節がスムーズに動かない状態だと、膝や股関節を深く曲げることができず、上半身(腰)だけを前に倒し、腕と腰の力だけでぐっと持ち上げるような動作になってしまいがちです。
抱っこやおんぶは、毎日の生活の中で繰り返し行われる非常に頻度の高い動作です。
だからこそ、「股関節を使わずに腰だけで支える」という小さな負担の積み重ねが、腰全体の張りやつらさへとつながっていくのです。
つまり、「股関節が本来行うべき仕事を十分にこなせていない分、腰が代わりに休む間もなく頑張り続けている状態」になっていると考えられます。
腰だけをケアしても変化を感じにくいことがある理由
腰につらさや違和感があると、どうしても痛みが出ている部位そのものに意識が向きます。
・腰の筋肉をしっかり伸ばすストレッチをする
・腰周辺を念入りにマッサージする
・腰に湿布やカイロを貼る
こうした局所的なケアを行う方は非常に多いですし、それによって一時的に気分が和らぐこともあります。
ただし、もしつらさの背景に「股関節の動きにくさ(機能低下)」が関係しているのであれば、腰という部位だけを繰り返しケアしたとしても、根本的な「身体の使い方のクセ」そのものは変わりません。
分かりやすい例えとして、職場や日常で「毎日ひとりで2人分の重い荷物を運ばされている人」をイメージしてみてください。
その人が「肩がパンパンに張って疲れた」と言ったとき、肩を優しく揉んであげるのは一時的な癒やしになります。ですが、翌日もまた同じようにひとりで2人分の荷物を運び続ければ、当然ながら肩は再び限界を迎えてしまいますよね。
腰のトラブルにおいても、これと全く同じ現象が起きている可能性があります。
腰は「原因の場所」というよりも、他がかばった結果として負荷が集まってしまい、悲鳴を上げている「頑張りすぎている場所」なのかもしれません。
そのため、単に「腰がつらいから腰だけを見る」というアプローチだけでなく、
「股関節の可動域はどうなっているかな?」
「お尻や太ももの筋肉が固まって動きを邪魔していないかな?」
というように、連動する周囲の部位へ視野を広げていくことがとても大切になります。
身体は一つのチームとして考えてみましょう
私たちの身体は、一つひとつのパーツが独立して勝手に動いているわけではありません。
・股関節
・お尻の筋肉
・太ももの筋肉
・体幹(胴体部分)
・腰背部
これらはすべて筋膜や神経、骨格を通じて密接につながっており、お互いにサポートし合いながらスムーズな動作を作り出しています。
だからこそ、どこか一つの場所だけに固執して判断してしまうと、身体全体でどのような負担の偏りが起きているのかという本質が見えにくくなってしまいます。
局所的な状態だけを捉えるのではなく、身体全体の運動パターンや姿勢のバランスを観察しながら、「どこがオーバーワーク(頑張りすぎ)になっているのか」「どこが本来の役割を果たせていないのか」という全体的な視点を持つことが重要です。
まとめ|視点を少し広げてみること
産後におよぶ腰への負担は、決して腰だけの問題として解決するとは限りません。
抱っこや授乳といった日常の姿勢や動作が続くことで、股関節を大きく動かす機会が減り、その動かない分だけ腰が過剰に頑張らざるを得ない環境が作られていることがあります。
「腰がつらい=腰だけが悪い」と決めつけてしまう必要はありません。
・普段の生活でどんな姿勢や体勢をとることが多いかな?
・お子さんを抱き上げるとき、腰だけで強引に持ち上げていないかな?
・床のものを拾うとき、股関節を折りたたむようにしっかりしゃがめているかな?
このようにご自身の身体のクセや動作に少し意識を向けてみるだけでも、日常の身体の使い方やケアに対する捉え方は変わってきます。
気になる変化が続く場合や、日々の生活の中で不便を感じるような場合には、無理をして自己判断を続けず、身体の構造や運動メカニズムに関する知識を持った専門家へ相談してみるのも選択肢の一つです。
あとがき
今朝の体重は 61.7kg で、ここ最近の計測値の中では最も軽い数値となりました。

単純に数値の変動だけを見れば「順調に推移しているな」と感じるところですが、私自身が日々のコンディション管理において確認しているのは、体重という単一の数字だけではありません。
・トレーニング中の軸のブレや動きの質はどうだったか
・身体の深部に余計な疲労感や張りが残っていないか
・食事の内容や睡眠の質、休養のバランスは十分保たれているか
こうした多角的な要素を総合的に組み合わせて判断して、はじめてその日のコンディション全体を把握することができます。
今回の「股関節と腰の関係」について文章を書き進めながら、私自身も改めて深く感じたのは、「特定の数値や一つの場所だけに捉われず、全体の流れや構造を見渡すことの大切さ」です。
腰のケアだけに囚われてしまったり、体重の数値だけに一喜一憂してしまったり、特定の食事メニューだけに偏ってしまったり。どこか一箇所だけに過度にスポットを当ててしまうと、全体の中で何が起きているのかという本当の状態が見えにくくなってしまうことがあります。
反対に、視野を広げて全体のバランスを俯瞰してみると、「今はここを少し整えてみよう」「全体のためにこの動作を工夫してみよう」といった、前向きで小さな気付きや工夫が自然と生まれてきます。
産後の身体と向き合う際も全く同じです。
つらさを感じる特定の場所だけに意識を向けすぎてご自身を追い込むのではなく、ご自身の身体全体を温かくいたわるような視点を持って、毎日を無理のないペースで過ごしていってくださいね。
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投稿者プロフィール

- 美翔接骨院 院長
国家資格『柔道整復師』
キネシオテーピング協会認定『キネシオテーピングプラクティショナー』
キネシオテーピング協会認定『キネシオテーピングトレーナー』
日本ストレッチング協会認定『ストレッチングトレーナー』
日本コアコンディショニング協会認定『ひめトレインストラクター』
内面美容医学財団公認『ファスティングカウンセラー』
内面美容医学財団公認『プロフェッショナルインストラクター』






